毎年のことだが年も押し詰まって取引先にお歳暮を配る。
うちの場合何軒もあるわけではないのでたいしたことはない。
いやあ、やはりというか、どうも風邪ぎみなのだ。
のどが痛い。
頭が重い。
歯茎が腫れる。
年に一度休みが近くなると体調が・・・お酒も飲めなくなるのはつらい。
さて今年読んだ本と映画のことをまとめておきたいと思うのだが、どうも時間がない。
でも今読んでる本について。
いまさらというか、『ラヴクラフト全集4』創元推理文庫の中に収録されている『狂気の山脈にて』である。

ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4)) -
おそらく海外ミステリーやホラーを好きな人でクトゥルー神話体系を創始したH・P・ラヴクラフトの名前を知らない人はいないと思うのだが、実際に読んだことのある人は意外に少ないのじゃないだろうか?
私もその一人。
最初に言っておこう。
いやあ面白い。
そこでなぜ今さら読むことになったのかというと、先日忘年会の余興のグッズを買いに寄ったビレバンで見つけた漫画である。
『異世界の色彩』と『魔犬』田辺剛である。

異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集<ラヴクラフト傑作集> (ビームコミックス) -

魔犬 ラヴクラフト傑作集<ラヴクラフト傑作集> (ビームコミックス) -
この話もさることながら絵がねえ、ラヴクラフトの世界に合ってるのよ。
さっそく既刊の『闇に這う者』『狂気の山脈にて1』を買い、待てずに原書ラヴクラフト全集にはまっているわけなのだ。

闇に這う者 ラヴクラフト傑作集<ラヴクラフト傑作集> (ビームコミックス) -

狂気の山脈にて 1 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス) -
やっぱりねえ、漫画は絵なんだよねえ。
どんなにストーリーが面白くても絵が下手(というか私の体質に合わないと)ダメなのだ。
だって漫画は言葉がなくっても成立するんだから。
その意味で言うとディランの詩もあのメロディとヴォーカルがあってこその良い!であって詩だけでノーベル賞じゃない。
切り離せるものじゃないのだ。
だからあれは文学じゃないんだよ。
MUSICなんだよ。
逆に言えば選んだ人のお利口さ加減にざまあみろ、なんですけど・・・(^−^)
文学をバカにしてるし、音楽をバカにしている授与だね。
そもそもノーベル賞に音楽部門を作れよって話ですか?
脱線してしまったのですが、紹介ついでに

闇の国々 (ShoPro Books) -
これも絵で(恐ろしくて値段は言えないのですが)買ってしまいました。
ちなみに本棚に数年前から並んでいるのですが、いまだに読破できてないのです(宝物なので子供が触らないとこに置いてます)。
一日や二日で読める本ではありません。
電話帳くらいの厚さ。
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というわけで(なんだろな〜)今読んでるラヴクラフトに戻ります。
著者は1890-1937年没。
19世紀から20世紀初頭に生きた人の作品なのだ。
私はそもそも、そんな人のいわゆる怪物物語(恐怖小説)古くてダメだろうなあ、と思っていたのが大間違い。
とっても面白い。
良いものは時代を越えてというか、なんか今だから余計に面白かったりします。
この世界観が素晴らしいんだよなあ。
なんか時代小説を読んでいるような懐かしさや怖さがあります。
今の人は信じられないかもしれないけど、たった40年ほど前には、火星に火星人がいると思われていた。
2001年には『2001年宇宙の旅』が実現すると思われていた。
地球には国境などなくなり世界政府ができると思われていた。
あるいはついこの間のことだけど、石油は枯渇し『マッドマックス』の世界が到来するかもと思われていた。
確か中学の時社会の先生が「石油はなくなり、原子力や太陽エネルギーの世界になってる」と言ってました。
もちろん車はすべて電気自動車。
人間そんなに賢いものじゃないんですね。
実現できなかったことはいっぱいあるのに無くしたものはそれ以上。
これはそんな時代、まだまだ私たちが知らなかったこと、知る必要がなかった豊な時代の、不思議や冒険が詰まった素晴らしい物語でございます。
恥ずかしいけどエラリー・クインやアガサ・クリスティーを一冊も読まずに今のミステリーを語っていたようなものでした(ちなみに私すべて読破してます!ほとんどすべて忘れているけど・・・)。
キングを読んでいてこれを読んでなかったなんて、私を筆頭にバカです。
まずは私のように原書じゃなくてマンガを一冊手にしてから入るのが、入りやすいと思います。
今年一番の収穫でした。
嗚呼『狂気の山脈にて2』が待ち遠しい・・・